光の経験…ジェームズ・タレル(James Turrel)
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作成日時 : 2006/03/11 07:06
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瀬戸内海の直島へ妻と行った。本村(ほんむら)のArt House Projekut(家プロジェクト)にいった。そこに南寺(みなみでら)という安藤忠雄氏が設計した建物がある。安藤氏というとコンクリート打ちっ放しの建物を想像するのであるが,この建物はシンプルな木造である。。内部が凄い。内部は光の芸術家ジャームズ・タレル氏の作品「Backside of the Moon」である。中にはいると,漆黒の闇で全く何も見えない。「目が慣れてきたら赤い光が見えますので,見えたらその光を手でかざしてください。そうすれば中を歩くことができるようになります」という説明を入口で受けていた。大きな空間の端の椅子に座ること約10分,本当に何かが見えるのだろうかという不安に駆られていると,右上の方にボーと赤いものが見えているような気がしてきた。でも,とうてい内部を歩けるような状況ではない。横に座っている妻も同じような状況らしい。長い間の不安の中で忘れてしまっていたのだが,「光に手をかざしてください」という説明を思い出した。そして,手をかざしてみると体がスーと椅子を離れて動き出せそうな感じになった。そして,壁づたいに歩き始めた。部屋の奥の方に行くと,隠されていたほんの少しの光源が,黒い壁に当てられているだけであった。
手をかざした瞬間の経験は何だったのか。
闇が私の身体の存在を消失させていたのであるが,赤いわずかな光が「手をかざす」という行為を通じて私に私の体の存在を確かめさせたのである。自己の身体の存在が確かなものに回復した瞬間に,私は不安から解き放たれて立ち上がることができたのである。
光は,人間に自己の存在を確かめさせ続けているのであった
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